はじめに
料理には感動がある。食材の季節感や、調理の楽しみ。それが絵を描くのによいモチーフとなる。
水彩画の作品を紹介。手作り料理のスケッチです。
水彩画「コブサラダと焼きニンニク食べ比べ」
テーマについて
今回の作品は、「コブサラダ」と「焼きニンニク食べ比べ」というメニューを描いた水彩画。
コブサラダは手作りドレッシングが美味しくできた1品。ゆで卵やチキン、トマト、キュウリ、アボカド、ブルーベリーなど具材がいっぱい。絵は皿に取り分けたもの。具材とソースが混ざったところを描くのが大変そうだが、色とりどりのきれいな絵にしたい。
焼きニンニクは、青森産とスペイン産をオーブン焼きにして食べ比べを楽しんだ。ミニ玉ねぎとともに、こんがり焼けている。皮がめくれている美しさを表現したかった。中に甘い実が見えているところも。
スケッチは途中経過の写真を撮っておいたので載せました。
制作手順
下描き
皿のアウトラインを楕円で描く。
上手に楕円を描く方法は、まず長方形を描いておおよそのサイズを決めること。
次に、長方形に中心線を入れて、長方形の線と交わる4点を通るように円を描く。
斜め上から見た絵を描く場合、中心線の十字の手前側を長めにするのがポイント。
皿の形ができたら、具材の形を描く。
食材等の細かいところを描き加えていく。
今回のコブサラダは、使った食材が多く描き込むのが大変だが、塗る楽しみのためにもひとつひとつを意識して形を描く。
特に手前のニンニクは、薄皮がめくれているところと、中の実のほっくり感を大切にしてていねいに描く。
自然物は人工物と違って、ゆがみがある。丸く見えても、簡単に左右対称にしてしまわないことで写実が表現できる。
着色
食材の固有色(対象物が本来もっている色)を塗る。
水を多く混ぜて淡く塗ったところは、明るい部分とする。
光がもっとも強く当たっている部分(ハイライト)や、皿や卵の白身の部分は、色を塗らないように空けておく。白い色を、画用紙の色を利用して表現するためだ。
調子を強める
影を塗り重ねて、調子を強める。乾いては、繰り返し塗り重ねる。何回も塗っていると段々立体感が出てくる。
仕上げ
仕上げでは、絵全体のバランスを整えることが必要。
特に、遠近感。手前のものは輪郭をしっかり取ってより強く、奥はそれ以上塗り重ねないことで差をつけて遠近感を出す。
完成
完成した絵がこちら。
影のつけ方「混色と重色」
今回、手前のニンニクの皮の影やミニ玉ねぎには、暗い色で影をつけた。
影をつけるときは、安易に黒を混ぜないようにしている。暗い色は、補色(正反対の色味)の混色によって作り、豊かな色味にすることを意識した。
なお、水彩画で「色を混ぜる」ことには2つの種類がある。次の「混色」「重色」の両方を取り入れて影を着色している。
・混色(こんしょく)・・・パレット上で色を混ぜること
・重色(じゅうしょく)・・・画用紙に色を重ねること
作品を味わう
角度を変えて撮影すると、また違った味わいがあるかな。