石に絵を描く「ストーンアート」で制作した動物たち(これまでの作品はこちら)を使って、いくつかお話を考えてみました。
主役はうちの愛犬、トイプードルのカンピくん。この度は、新キャラクター「ちょい悪犬のブルース」が登場します。どこか哀愁をおびた顔になったブルースを見ていると、場末の路地で自由に生きる犬というフレーズが浮かびました。
やがてカンピのいく世界がこうであってほしい。石にとどめた魂の世界が、この世に存在してくれたらと思いながら、童話風のお話にしています。
今回の背景は、前回に続いて「Microsoft Designer」と「Whisk」というAIツールを使用しました。
もくじ
第2話 ちょい悪犬のブルース
ここは人間が住んでいる街
カンピくんがフワフワとお散歩しているよ
友だちのビーグルくんも一緒に
「ぼくらは見えないみたいだから心配ないんだよ」
夜の路地裏は静まり返っている
「よう!ビーやん」
すかした顔の犬が現れた
ビーやんって ビーグルくんのこと?

「やあ ブルース こちらカンピくんだよ」
ビーグルくんが紹介してくれた。
「こんばんは カンピっていいます」
「へー 飼われていたって感じだね 毛並みがいい」
ブルースはチラッとカンピを見て言った
カンピもブルースをじっと見た
つややかな毛で瞳がきれい
「君こそきれいな毛並みでカッコいいじゃないか」
カンピは感心しながら言った

「いや俺はただの自由な犬さ でも この辺には世話を焼きたがる奴がいるんだ」
「知っているよ 君はこの辺にずっといるよね」
ビーグルくんの言葉に ブルースはニヤリとした
「でも この頃ちいと心配なことができちまって…」
ブルースの顔が曇る
「昔、世話になった爺さんが 家から出てこないんだ
小さいころ俺が傷だらけでさまよっていたときに助けてくれたもんだから…」
ビーグルくんはうなずいた
「なるほど でも どうしたらいいだろうかねえ」
カンピも考える
「窓から中をのぞけるといいのにね」
「それは無理だな 爺さんの部屋は2階なんだ 窓には登れない」
カンピは考えた
「窓に登れる友達はいないかなあ」
「うーん それはいる」
ビーグルくんが思いついた
「でも ボスは来てくれるかな 気難しいんだ」
カンピは提案する
「そのボスに会いに行ってみようよ」
「た 頼む」
ブルースは喜んだ
みんなで歩く
「ボスー!」
大きな木の前でビーグルくんが呼びかけた

返事はない
「いるはずなんだけどね」
「ボスー!」
みんなで呼んだが 返事がない
カンピは考えた
「ねえ ブルース 事情を話してみたら わかってもらえるかもしれないよ」
「そうだね それがいいよ」
ビーグルくんもそうすすめた
「わかった ボス 聞いてくれ」
ブルースは子供の頃、生まれてすぐに路地裏に捨てられていたこと
車にひかれて死にかかったときお爺さんが看病してくれたことを話した
そのお爺さんが家の中で倒れているのではないかと
心配していることを一生懸命話した
「俺 じいさんに恩があるんだよ」
遠くでフクロウが鳴いている
そのとき 木がザワザワと音を立てた
「わかった」
木から大きなサルが降りてきた
ボスというだけあって 老いてはいるが眼光が鋭い

「何をすればいいんだ?」
「ありがとうボス」
ブルースはうれしくて泣きそうになった
「路地裏のアパートの2階に上って 窓から爺さんを見てほしいんだ」
「わかった」
「急ごう!」
ブルースはかけ出した
みんなもついていく
ボスはスルスルと2階の窓まで登り じっと目をこらした

「いかん、人間がたおれている」
ボスはみんなに告げた
「えー どうしよう」
ブルースはわなわなと震えている
カンピは考える
ぼくらには助けられない
人間に伝えなくちゃ
カンピは考える
誰に伝える?
誰が助けられる?
どうしたら伝えられる?
僕たちに 何ができる?
ぼくたちは人間の前に現れられない
何ができるだろう……
そうだ!
「ドアの所に 隣の人が困るほどの木の枝を置いて 大家さんを呼んでもらおう」
みんなは山に行って 木の枝をたくさん集めた
その間にビーグルくんがワニ男を呼んできた
ボスは枝をたくさんくくりつけた
ブルースは大きな木の枝を 口にくわえて引きずった

カンピとビーグル君も一緒に枝を押して運んだよ
おじいさんのアパートに到着した

そして お爺さんの部屋の前に積み上げる

やがて隣の人が帰ってきて 悲鳴を上げた
激しくお爺さんの部屋のドアをたたくが返事がない
隣人は怒って電話をしている
大家さんらしき人が枝をかき分けてカギを開けた
ああ見つけてくれた 良かった
みんなはホッとしたがブルースはまだ震えている
やがて救急車が来て お爺さんは運ばれた
「まだ無事かどうかわからないけど やれることはやった」
ボスがそう言った
ブルースは静かにうなずいた

「俺 アパートのところにいるわ」
「わかった また明日」
みんなはブルースを置いてそれぞれ寝床に帰った
一か月後にブルースはお爺さんを見た
不思議そうに 残った枝を片付けていたってさ

(第3話へ続く)
ひとこと ブルースはちょい悪風
2年前の夏に、愛犬カンピがあまりの暑さに調子を落としたことがありました。このまま逝ってしまうのではないかと心配しましたが、涼しくなってすっかり元気になりました。ホッとしながらも、もう15歳になるカンピ。いつかは覚悟しなければならない別れを思い、愛犬カンピの石で絵本のお話を書きたいと思うようになったのです。
彼らの世界は死後の世界です。
生きている我々には見えないけれど、それが現世の中に存在してほしいと思っています。虫の知らせだったり、説明できない運命のようなものから想像しました。
今回のお話は、ちょい悪の顔をした犬のブルースが主役です。
河原で石を手に取った瞬間、ブルースの顔が見えてきたようでした。ちょうど目のところが漫画に出てくるような形だったので、キャラクター風なのもアリかなと思いこの顔に。
鼻の所に、本当に穴があるのが気に入っています。彼には特に愛着がわきました。
悲しげにも見える目は、彼の生い立ちによるものと設定しました。生まれて間もない頃、事故にあって亡くなり、助けようとしてくれたおじいさんを今も見守っているという話です。
彼の顔は成犬ですが、この世界では自由。カンピも少年のようでしょ?本当はすっかり年寄りですけど。
ブルースの石の原型と制作手順を、こちらのブログにあげています。
ちなみにボスはこちらです。













