おうちでアート~作品と手順を紹介~

ストーンアート 石というキャンバスの魅力

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【ストーンアート】写実で描く~学校の授業にいかがですか? 図工・美術・総合で~

流木・石は美術の教材の一つ

学校の美術の教科書には、流木や石などの自然物に関する課題がある。

自然の形や色から想像するアートって、学びが多い。

ストーンアート第7回。

 

前回の更新では魚をモチーフに、デザイン化した描き方を紹介したが、今回はリアル(写実的)な表現で作品を作ってみた。

手順を紹介。授業の課題の参考にいかがですか?

写実的な表現でやってみよう

ストーンアートは、石の形から何かのモチーフ(素材)を想像してデザインする。

リアルな表現に憧れる人は多いのではないでしょうか。年齢的には、小学校高学年ぐらいからそのような”写実の芽生え”が始まるといわれている。

本物そっくりにするには、資料が必要になる。石の形から想像した後、資料をどうやって探すとよいだろうか。

1.石からモチーフを発想する

いびつな形の石を撮影した写真

石を観察

今回作品に使うのは、割れているような部分をもつ、いびつな形の石。

魚の頭のように見えたので、魚の資料を用意して描くことにした。

2.モチーフ(素材)を探す

形からモチーフは魚に決めたが、何の魚にしようか

資料を探す。海の魚、川の魚、鑑賞用、深海魚。分野も色々ある。
川魚の「アマゴ」に似ていることを発見。

3.よく観察してスケッチしてみる

いきなり筆で描くには慣れが必要。対象物をスケッチして形を把握してから、本番の下描きをしたほうがよい場合もある。見たまま描けるという人は、それでももちろんOK。

4.明るい色で下地塗りをする

下地塗りをした石とパレットで混ぜた絵の具を撮影した写真

下地塗り

下地塗りには明るい色を選んだほうがよい。暗い色では、上から色を重ねるときに透けて見えることがあるからだ。

できるだけアマゴに近づけた色に、白を混ぜて明るめの色を作った。

5.下描き

資料の写真をよく見ながら、少し暗い色で石に直接下絵を描く。

下描きに鉛筆を利用する方法もあるが、鉛筆は絵の具に溶けたり手について汚してしまったりするので、アクリル絵の具で直接描くことをお勧めしたい。

下地塗りをした石に魚の頭の絵を下描きして撮影した写真

下描き

6.着色

自然の色を参考に着色

写実的に表現するためには、自然の色を作る必要がある。

例えば、アマゴの灰色のような色を作る時。絵の具の白と黒を混ぜると灰色はできるが、それだけでアマゴと同じ色ができているわけではない。自然の色はもっと複雑な色味をもっている。

何らかの色味成分を少し混ぜるようにすると良いだろう。この作品では緑と赤を混ぜて、より複雑な色味の灰色を作ってみた。

資料として実物が手元にないときは?

色を作るときにも資料が必要。本来ならば資料は、写真ではなく実物が良い。スマホやパソコンの画面上の写真では、表現しきれない色があるからだ。しかし、アマゴを手元におくことは授業だと難しいので、やむを得ない。写真や細密画の図鑑、ネットの写真などで資料を収集しよう。

魚の頭の絵を描いた石に着色して撮影した写真

色を混ぜて作る

7.ハイライトを入れる

一番明るい光っている部分に、ハイライト(もっとも明るい光の部分)を入れる。魚の光沢や、ぬめり等の質感を表現しよう。

魚の頭の絵を描いた石にハイライトを追加して撮影した写真

色を塗り重ねてからハイライトを入れる

8.ニスで仕上げる

よく乾いてから、絵の具保護のためにニスを塗る。魚の光沢にもなる。

魚の頭の絵を描いた石にニスを塗って撮影した写真

ニスを塗って完成

ポイント 資料を探すことも学び

魚にも色々ある。初めは鮭を描こうと思い、ネットで検索した。
「鮭 横顔 写真」で、沢山出てくる。雄雌や個体による違いがあって、しばらく眺める。でも、用意した石で表現するには、顔の長さ(石の幅)が足りないし、鮭の特徴である口の部分も違うことに気付く。
改めて魚全体の写真を見ているうちに、川の魚の顔つきに似ていると思い始めた。
検索を川の魚に絞る。
「アマゴ」日本の固有種でサケ科の魚。河川に残留するものを「アマゴ」と呼ぶらしい。準絶滅危惧種。

改めて、魚のことと自然環境のことを知ることができた。

まとめ

図工や美術、総合の授業に適している

今回は、資料を探す手順を中心に考えた。
子供は小学校高学年から中学生に向けて、発達段階として写実に目覚める。その後も本物そっくりに表すことに楽しさを感じるという声が多く聞かれる。
写実的に表現しようとするならば、調べることが必要になる。そして、素材を探すうちに、形以外にも多くのことを知ることができる。生物ならばその生態や人との関わり、環境問題など。小学校の図工や中学校の美術、総合的な学習の時間に良い課題になるのではないかと思う。また、夏休みの自由研究にもピッタリ。

個性的な作品に仕上がる

今回は魚の頭という奇妙な作品になったが、このデザインは石の形から発想したものだ。ストーンアートならではだろう。美術の学習用には、ぜひ形を活かした表現をお勧めしたい。

ストーンアート作品を手のひらに持って撮影した写真

作品 アマゴの頭