ストーンアートでは、石の形や色から何かのモチーフ(素材)を想像してデザインしている。
でも、形を描くだけでなく、浮かんだ物語を込めて創作するのも楽しいだろう。
今回は、自由なアイデアを、顔の表情を描くことで表そう。
ストーンアート第11回!
「ボス猿」を作る 手順
石の形を活かして写実的に表した作品に、表情をつけてみよう。
手順を紹介。
1.石からモチーフを発想する
この度の石は、ある角度から見ると、猿の顔が浮かんできた。
小猿や母猿、オスかメスなのか、年老いた猿なのか。どんな猿だろうと考えた。
伸びた頬のような部分から、ボスを張っている老齢な「ボス猿」が浮かぶ。
目の輝きは消えていない、そんな芯の強さも描きたい。
2.資料を探す
猿の様々な写真をネットで探しながら、個々に顔立ちが違うことに感心する。オス、メスで随分表情が違う。さらに、ボス猿は他とは違う個性がある。
こんなに熱心に猿の顔を観察したことはなかったかも。
3.下地塗り、下描き
顔の色を下地として塗る。
ボスの目といえば、カッと見開いているだろうな・・・と、考え、目は塗らずに残しておく。
口のところがもともと割れていたので、すでに顔のようになってきた。
そのため下描きは特にせず、位置を決めるために鼻の穴だけ描き加えた。
4.着色
目玉に色を塗る。これは・・・恐ろしい顔。
恐ろしいが面白い。
でも怖すぎて猿じゃない。宇宙人か妖怪か? 目玉が見開きすぎている。
目をもう少し閉じさせるために、まぶたを描く。
鼻も細く整える。
まだちょっと人間の顔のようにも見えるから、毛を描いていこう。
資料をよく見て、どこから生えているのかということや、毛の方向に気をつけて。
小筆は適度にスピードをつけて動かすと細い線が描ける。
乾いたらいくらでも塗り足すことができるのが、アクリル絵の具の特徴。絵の具を重ねて目や鼻の形を調整することで、表情が変えられる。
この度、ボス猿を描くために特に意識した表現は、まずオスであることだ。石の角張ったところを活かして、下地塗りをした。
次に、老齢らしくまぶたを重く見せるために、まぶたの幅を長めにとって、しわを入れる。鼻の下や頬の割合も長めにした。
群れのボスであることは、目の視線と輝きで表した。顔を下げると目の光は反射せず見えなくなる。つまり、目の光は、顔を上げてまっすぐ正面を見据えているという目の表現だ。
5.ニスを塗る
乾いた絵の具の上からニスを塗って完成。
まとめ
今回、形は石そのままを活かし、目、鼻、口の位置で猿の年齢や性別を表してみた。また、目や鼻の大きさや形で表情を作ることを工夫してみた。
まず必要なのは、個体の持つ性別、年齢、性格を決めること。まるでキャラクターのような個性の設定。ボス猿というキャラ。
「老齢なボス猿」と決めたら、目、鼻、口のプロポーション(割合)やそれらの形による表情でキャラを表す。
※目、鼻、口のプロポーション(割合)・・・まぶたが重く、鼻の下や頬が長いと年齢を感じさせる等。
※目、鼻、口の形・・・見開いた目、鼻が膨らむ、口を曲げる等で表情が表せる等。
アクリル絵の具は、しっかり乾かすと重ねて塗ることができる。濃く塗ると、下の色が見えなくなるので、描き直しが簡単にできる。
表情という微妙な表現も、描き足したりやり直したり、何度も試してみることができた。
感想
素材が石であることから、何かの形ができたらいいなというぐらいの気持ちで始めたストーンアート。自分の思いついたイメージに、物語性を加えたら面白いかもと思い立った。
石の形から思い浮かんだ表情を作ることで、他にもいろいろな作品ができはじめるかな。
ボス、よろしく。