はじめに
自分の作品には愛着が湧く。実用性があって日々使うような物を作れば、完成した後も楽しめる。
学校の図工や美術の授業では、多くの学びがあることから「使う物」を作ることが多い。
使う物を制作するときの重要なポイントは大きく2つ。魅力あるデザインを作ること。そして、安全性や機能性も考えなければならないこと。
そこで今回は、石の重みやさわり心地を活かしたペーパーウェイトの作り方を紹介。
制作を通して、作って使う楽しみを味わってみませんか。
手順を紹介。ストーンアート第15回!
石でペーパーウェイトを作る
1 石を選ぶ
ペーパーウェイトは、紙の上に置いて飛ばないように固定するためのもの。
石のペーパーウェイトを作るなら、まずはどのような石を選ぶかが大切。次のような点を意識して選びたい。
・ほどよい重さ
・手触りの良さ
・安定していて転がらない形
机上で使う物なので、大きすぎてはじゃまになるし、持ったときに重いのも困る。
ゴツゴツ、ざらざらしたものは安全面に問題がある。
使ったときに心地よいと感じる石のなめらかさや重さ、愛着の湧くデザインを工夫して、手作りならではの楽しさを味わいたい。
さて、今回選んだ石はこちら。
平たくて、さわり心地の良い石を選んだ。ちょうどよい重さで、機能性も安全性も満たしていると考えた。
ちなみにこの石は、ストーンアート用に販売されていたもの。
美術や図工の授業でたくさんの石が必要になった場合などは、購入することもできますね。
2 モチーフを探す
いつもそばに置いておくペーパーウェイト。心を癒やしてくれる美しいモチーフが良いなと、花を選んだ。
スマホの写真フォルダの中から花を探す。
先日お祝いでいただいた花束のガーベラを描くことに決めた。きれいだから撮っておいたのだ。
この写真を参考にしてデザインする。
写真には、カメラマンの著作権がある。生の花を見ながらスケッチする、もしくは自分の撮った写真を使うのが望ましい。
3 石を洗う
たわしと流水できれいに石を洗い、しっかり乾かす。
4 下描き
使いたい絵の具を混ぜて色を作り、単純化して規則的に花びらを並べながら描いた。
絵の具はアクリル絵の具を使用した。水性だが、乾くと耐水性に変わる。水に濡れても溶け出さないので、実用的なもの(使うもの)を作るときは特に着色に適した絵の具だ。
5 下地塗りをする
花のもつ固有色に白を混ぜ、明るめにして塗る。
先に暗い色を塗ると、明るい色は透けてしまうことがある。影の暗い色は後から塗った方が効率的。
6 影を塗る
影を塗り重ねて立体感をつける。
影は花びらの根もとの丸くへこんだ部分や、花びらが重なっているところの下の方にある。こうした影をきちんと塗ることで、より立体的になる。
背景にも影を塗る。
7 ニスを塗って仕上げる
今回は石の自然な色を残すために、絵の具で着色したところだけニスを塗った。もちろん石全体に塗っても良いので、好みで選ぼう。
ニスには、保存性を高める効果があり、ツヤも出る。
まとめ
実用的な物、使う物を作るときには、幾つか注意点があるのでまとめました。
ポイント
- 安全性:さわった時に、刺さったり擦り傷ができたりしないこと。手をついたり、踏んだりすることもあるのでいろいろな場面を想定して作ること。
- 機能性:用途に合っていること。今回のペーパーウェイトには、紙類を押さえる重量があることと転がらない安定感が必要だ。
- 耐久性:すぐには破損することがないように仕上げること。石は硬くて壊れにくい。とはいえ、着色する絵の具が溶けたりはがれたりすることがないようにしたい。例として、今回は耐水性のあるアクリル絵の具を使い、ニスを塗った。
実用性をよく考えて制作した物は、使いやすく心地よい。愛着が湧いてきて大切な物になる事だろう。
感想
今回はペーパーウェイトに合う石を複数探し、それぞれに下描きから同時進行で花を描いてみた。
複数の石に同じ色の花を描くことで、作った色がなくなるまで塗ることが出来た。しかも同じ作業なので早く完成する。
ストーンアートでは、乾くと耐水性になるアクリル絵の具を使うのが便利。しかし、小さな絵を描くとき、パレットに出した絵の具が余ってしまうことがある。水彩絵の具と違って乾いたら使えなくなるので、捨ててしまうことになる。
今回は大量生産とまでいかないが、複数生産ができた。職人さんになったような気分。
学校の図工や美術の先生へ
扱う利点が多いストーンアート
授業では、早い人はこうして複数作ることもできる。1つなら短時間で出来る上に、途中で止めても継続しやすいところが便利だ。他の立体作品に比べて、保存場所もとらない。(意外に重いが。)そして、壊れにくいなど利点が多いのが、ストーンアート。
注意点については指導の徹底を
生徒には、特に既存のイラストは使わせないようにしたい。趣味で作って楽しむのはOK。しかし、フリー素材であっても、それを自分がデザインしたかのように描くことは、美術のデザインの評価をする作品としてはルール違反だ。
学生にとっては美術の成績に関わること、社会では商売に関することにはよく注意することを徹底したい。
生徒も石を選ぶところから始めれば、たくさんの事を考え、工夫して、愛着の湧く物をつくりあげることだろう。
今回は、どれも同じ色で着色した。
自然の石には同じ物がない。石の形によって花の表情に違いのある作品がたくさん出来て楽しかった。