はじめに
写真を撮って楽しみたいけど何を撮れば良いのだろう?と悩むことはありませんか。
おすすめのテーマは「自分が心を動かされるもの」。
日本には四季がある。そして、春夏秋冬を表現する文化がある。
朝夕すっかり涼しくなった秋を表現するのはいかがですか?
写真のモチーフ(テーマ)について考えたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
春夏秋冬を表現する
日本の文化には、春夏秋冬を表したものが多くある。
絵巻物、屏風絵、掛け軸などの日本画。焼き物、蒔絵などの工芸品。扇子やうちわなどの日用品。着物や浴衣、和菓子・・・。
季節の美しい草花や紅葉、鳥、虫などが、さまざまに描かれてきた。
春夏秋冬を楽しむのは素敵なことですよね。
身の回りの春夏秋冬を探してみる
夏から秋へ変わりゆくなか、外に出ると朝の涼しさに驚く。2023年の、観測史上もっとも暑い夏といわれた猛暑が、ずっと前のことのよう。
今いろいろな場面で見つけることができるのが、季節の変わり目ならではの自然の変化。
その中に、心を動かされるものがあるのではないでしょうか。
季節を写真に撮ってみる―夏から秋への風景
夏の雲
まぶしく輝く夏の青い空に、白いモコモコの雲。
あれ、うちのワンコのカンピ君(白いトイプードル)にそっくり。
大空に飛び上がっているみたい。
今この瞬間しかない、この季節の偶然の造形を発見した喜びを撮る。
暑いなか、夏らしい白い雲を見上げる。立体感があって生きているかのようだ。何かの形に見えることが、なぜか嬉しい。
雲はいつも同じ形ではない。時間の経過とともに刻々と形を変え、消えていく。あるいは、あっと言う間に広がって空をうめ尽くすかもしれない。
写真は、消えゆくその瞬間をとらえることができる。
夏のひまわり
それにしても、暑い夏だ。
汗をふきふき歩いていると、今年の猛暑を象徴するかのような場面に遭遇。
猛暑日の記録に、ひまわりまでバテているみたい。勘弁してくださいって、言ってる?
大きく立派なひまわりの曲がった茎が、どこか人間の動作のように見える。
夏に生きるもの同士、共感してしまう。
大きな自然の前に生き物は抗うことが難しい。変化によって、弱ったり滅びたりもする。
初秋のきのこ
雨がやんだ朝に公園で見つけた、青いドングリときのこ。
少しずつ秋が来る。
俳句において季節を表す言葉の中でも、秋の季語になっている茸(きのこ)。
芋、栗、柿などのような、秋の実りの1つだ。
ドングリがまだ青い初秋の頃。急に雨が降って寒くなった日の翌朝、きのこがむくむくと土を持ち上げ、大きな傘を開いているのを発見!
近所の誰も気付いていないかもしれないな、と近くで観察する。こんな灰色のきのこは初めて見た。
きのこには松茸やシメジ、シイタケと美味な物があるから、こうした自然の実りには興味津々だ。
でも、きのこには毒があるものが多い。食べられるかもしれないという思いが事故につながることがある。
採集はしないけれど、それでも旨そうに見える。
これから豊かな実りの秋が来る。
中秋の名月
満月に照らされる雲と高い空。
日が暮れてすぐの満月は、肉眼ではとても大きく見える。
月の光に照らされた空は高く、縮れたような形の雲がうっすら見えた。中秋の名月と夜空を撮る。
ドングリが降る
公園の木の下。どっさりのドングリを見かけた。
昔、子供が持ち帰ってくると水につけ、虫が入っていないのをより分けたものだ。
お山の動物は喜んで食べているんだろう。
木の実が豊作の年には虫も動物も増え、不作の年には減っていく。大豊作は毎年続かない。周期があって、木も休む。山の動物も虫も生かされている。増えすぎず減りすぎず、バランスをとっている。
人間がそのバランスを崩していいわけがないなあ。人里に動物たちが降りてくるニュースを見る度に、ちょっと切ない。
おわりに―四季を愛でる
秋本番。今年はどんな秋が見られるだろう。
春夏秋冬は色々な美しさを見せてくれる。
なぜ、私たちは季節を愛でるのだろうかと考える。
地球上のあらゆる場所で、大きな自然に寄り添いながら、生きとし生けるものの営みが見られる。次の季節に備え、蓄え、繁栄のためにひたむきに生きる。死んで、生まれて、死んで、また生まれて、つながっていく。
そのことを、地球に生きる1人として、尊いものだと感じるからであろうか。
春夏秋冬のある日本では、気候が次々に大きく変わりゆく。
それぞれの季節の美しさを、移りゆく哀愁や喜びを、味わいながら撮る。